救援新聞・北九州版 2012年5月25日

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★ 目  次 ★
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 ■人権と民主主義を守る仲間を救援会に
  全国大会を昨年以上の会員で成功させよう
 ■「無実の人は無実に!」全国いっせい宣伝行動に参加を
 ■「九州アスベスト訴訟」第2回公判
  「肺がんになってしも〜て,悔しか,悲しかァ〜」遺族が悲痛な意見陳述
 ■退職労働者の労災死亡に補償制度の確立を
 ■北九州かわら版

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■人権と民主主義を守る仲間を救援会に
 全国大会を昨年以上の会員で成功させよう

 7月28日〜30日、兵庫県神戸市で開催される第56回全国大会の成功目指して全国で会員拡大運動が進んでいます。
 救援会は行動綱領で「日本人民の民主的権利を奪い去ろうとする反動立法や憲法改悪に反対し」と明記しています。
 昨年始動した憲法審査会は明文改憲に向けて具体的な論議を始めています。
 加えて「防衛計画大綱」にもとづく武器輸出三原則の緩和など「実質改憲」も強引に推し進められています。
 またあらたな国家機密法といわれる「秘密保全法」が国会に提出されようとしています。
 このような情勢の中で、国民救援会の果たす役割は重要です。
 ことに私たちが一番の仕事としています裁判に関わる状況は「自衛隊の国民監視差止訴訟」の勝利や「泉南アスベスト第2陣訴訟」の勝訴など評価すべき判決(当たり前の判決ですが)もありますが、北九州生存権裁判、TNC正社員化M裁判、JAL不当解雇裁判、定温輸送不当解雇裁判などの不当判決は三権分立を投げ捨てたとしか思えない判決も相次いでします。

前大会を上回る会員で全国大会を迎えよう!
 北九州総支部では、全国の奮闘に学び、前大会以上の会員で大会を迎えようと会員拡大に取り組んでいます。 メーデーや憲法集会では署名コーナーを設け、勝利した「足利事件」や「布川事件」25日に再審決定がだされる「名張毒ぶどう酒事件」、再審を申し立てた「仙台筋弛緩剤事件」などの支援を訴えながら入会を訴え、3名の新会員を迎えることができました。
 総支部では中央の表彰基準の3名以上拡大(記念品がもらえます)一人でも多くの人にチャレンジしてもらおうと呼びかけています。
 あなたもチャレンジを


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■「無実の人は無実に!」全国いっせい宣伝行動に参加を
 足利事件・布川事件の再審無罪確定に続いて、福井女子中学生殺人事件・東住吉放火殺人事件に再審開始決定がだされ、名張毒ぶどう酒事件は5月25に日再審の決定がだされます。 また東電OL殺人事件・袴田事件で有罪確定判決を覆すに足るDNA鑑定が提出されました。 再審まであと一歩です。
 みなさん、全国にはまだまだ救出されるべき『無実の人』がいます。 救援会では毎年5月20日を期して、「無実の人は無罪に」の全国いっせい宣伝行動に取り組んでいます。 北九州では小倉と若松の2ヶ所で下記のとおり実施します。
 みなさんの参加をおねがいします。

日時:5月26日(土)13時〜
場所:小倉駅前,若松サンリブ前


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■「九州アスベスト訴訟」第2回公判
「肺がんになってしも〜て,悔しか,悲しかァ〜」遺族が悲痛な意見陳述

 今年1月18日にスタートした『九州建設アスベスト訴訟』の第2回公判が、4月18日に開かれ、アスベストによる肺がんのために61歳で死亡したMさんの遺族(夫人)が、この裁判にかける思いの丈を陳述しました。 陳述によると、Mさんは、中学卒業後一貫して配管工として44年7カ月余り働き、2003年10月に肺がんと診断され入院、1年後の2004年9月に亡くなりました。 若い頃から健康が自慢で、周りからうらやましがられていたMさん。 そんなMさんが「最近疲れやすい」と言ってよく咳をするようになって、大牟田病院を受診、直ちに入院、3日後に肺がんを、数日後には「手術ができないレベルまで進行していることを告げられます。 そして1年後に死亡。
 この間、Mさんは、患部や床ずれの痛みや薬の副作用に苦しみながら、「…生きたい、死にたくない、孫の顔が見たい」「この仕事をしたばっかりに肺がんになってしも〜て、悔しか、悲しかァ〜」と繰り返し口にしていたそうです。
 夫人は「ただ真面目に一生懸命働いた主人が、アスベストによって肺がんになって、アスベストが憎いと言いながら死んでいった。 なぜ、何も悪い事をしていないのに、こんなに苦しまなければならないのでしょうか。」 「国と企業はアスベストが危険なものであると知りながら、使い続けた責任があると思います。」 「私は、この裁判を通じて、アスベストによってこんなにも苦しんだ人がいるという事を知ってもらいたい。 そして、国と企業には、償ってほしいと思っていす」と陳述を結びました。

「狂気の大阪高裁判決」を完全に葬り去る闘いを
 アスベスト訴訟については、昨年(2011年)8月に出された「労働者や住民の命や健康より工業技術の発達や産業社会の発展を優先させた」大阪泉南アスベスト訴訟第1陣の大阪高裁の「狂気の逆転判決」が有名ですが、そもそも、労働者や住民の犠牲の上に成り立つ工業技術の発達や産業社会の発展の成果を誰が喜ぶのか!
 まさに、大阪高裁判決は「あってはならない狂気の判決」と言わなければなりません。 幸い、同第2陣訴訟では、上級審である高裁の判決を否定し、国の責任を認める勝訴判決(大阪地裁、3月28日)が出されました。 地元での「九州建設アスベスト訴訟」の支援を強化し「あやまれ、償え、なくせアスベスト被害」の合言葉を後押しして、全国の裁判官が再び大阪高裁の様な判決を書くことができない世論を作っていきましょう。


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■退職労働者の労災死亡に補償制度の確立を
 新日鉄八幡製鉄所のコークス工場で働いていた元社員が肺がんで死亡したのは、会社が安全配慮義務を怠ったためとして、遺族4人が5月10日、新日鉄に損害賠償と遺族補償制度の改善などを求めて福岡地裁小倉支部に提訴しました。
 元社員は21年間コークス工場に勤務し、発がん性物質のタールを含んだ蒸気を吸引し続けました。 定年退職後の2008年に肺がんが見つかり2009年に72歳で亡くなりました。 遺族は「会社が危険なタール蒸気から従業員の安全を守る措置を怠った」と訴えています。
 40年前、コークス工場の労働者は多発する肺がん問題を職場運動に発展させて「5年以上コークス工場に在籍した人の肺がんは無条件で『労災』と認める」という認定基準を勝ち取っています。 それなのに元社員は、家族が支援者と何度も労基署に足を運びやっと労災認定されましたが、その半年後に亡くなりました。
 新日鉄では、在職中の労災死亡には弔慰金3400万円が支払われますが退職者には適用されません。 元社員の息子さんは「タールやアスベスト、じん肺などすべての業務が原因で亡くなった退職者に、当然会社は責任を取って補償していただきたい」と訴えました。 そして「昔、起業祭を通して父親が働く新日鉄に信頼感があった。 その会社が最低の基準を守るのではなく、社会に通用する補償制度に改善してほしい。 そうなれば現役労働者の働き方も変わると思う。 苦しかったことを思い出すのはつらいけど、退職労働者の救済につなげたい」と提訴した思いを語りました。
 跡を絶たない過労死など、命を奪い脅かす働き方が問われ続けている今日、本件裁判の意
義に学びながら支援の輪を広げていきましょう。


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■北九州かわら版
 北九州市は東日本大震災で被災した石巻の膨大ながれきを受け入れ、5月23日から市内の2ヶ所で試験償却を行い、受け入れの可否を最終的に決めることになった。
 5月17日労働者の健康を守り増進する活動を続けている「北九州労働者の健康問題連絡会議」が北橋北九州市長に対し、東日本大震災による瓦礫受け入れに関して「アスベストなどの有害物質に関する再検討を行ってください」という要望書を提出した。
 要望書によると放射性物質に関する指標は出されているが、アスベストをはじめとする放射性物質以外の有害物質に関する考慮がされていない。
 今回北九州市が受け入れの対象としている瓦礫は「木くずを中心とした可燃物」となっているが、分別が充分行われていない現状からすれば、アスベストなどが含まれて可能性は高いと言わざるを得ない。
また輸送しやすいように破砕する作業はアスベスト飛散が発生する可能性が大である。 現地労働者、その周辺住民、輸送労働者、北九州での保管作業労働者、焼却作業労働者、北九州市民の健康に大きな影響を及ぼすことが懸念される。
 アスベストをはじめとする有害物質に関する検討を充分行うことを要望する。 というものです。
 瓦礫処理については放射性物質が問題になっていますが、この視点での検討も重要では。
 昨年の4月30日解雇されたイワキ工業されたN・F両氏は、今年2月「解雇権の乱用」の勝訴決定を勝ち取り、会社の「解雇は撤回しないが暫定的に働け」の申し出で職場復帰。 ところが約束の営業職の仕事はさせず1日中座らせたまま。 頑張る二人に激励を!


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