救援新聞・福岡県版  2015年5月15日号 

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★  目次  ★
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 ■倉敷民商事件  岡山地裁が不当判決
  検察の主張丸のみ 司法の役割放棄 「おそれ」で有罪・・弁護団即日控訴
 ■参加しょう、参加をよびかけよう
 ■メーデーで2人が入会
 ■「約束」の上映運動すすむ
 ■明乳争議「中労委闘争を勝たせる会」結成
 ■こんな理不尽な解雇は司法が判断したからといって
  撤回闘争をやめるわけにはいかない
 ■沖縄県民と連帯し、新基地建設を阻止しょう
 ■行政追認の司法判断に抗議する
 ■初夏の能古島で楽しく学び、交流しよう
  救援学校IN能古島


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■倉敷民商事件  岡山地裁が不当判決
 検察の主張丸のみ 司法の役割放棄 「おそれ」で有罪・・弁護団即日控訴

 無資格で「税務書類を作成」したとして税理士法違反で起訴された岡山・倉敷民主商工会(民商)のO事務局長とS事務局次長の判決が4月17日、岡山地裁(松田道別裁判長)で開かれました。 松田裁判長は「業として税務書類を作成した」として二人に懲役10月、執行猶予3年(未決勾留100日参入)の有罪判決を言い渡しました。 Oさん、Sさんと弁護団は「不当判決」として広島高裁岡山支部に即日控訴。 判決後の報告集会では、「許せない不当判決」「勝利するまでたたかおう」と参加した200人が心を一つにしました。
 裁判で争われたのは
@この事件はI建設の法人法違反事件を口実とした民商弾圧で、控訴権の乱用にあたる
A二人の行為は税理士法に違反する「税務書類の作成」にあたらない
B二人の行為に刑罰を科すほどの違法性(可罰的違法性)はない・・の3点。
 判決は控訴権の乱用について「徴税権力の政治的意図に基づく民商の組織と活動に対する弾圧」とした弁護側主張にはまったく触れず、「捜査手続きに控訴提起を無効にするような重大な違法があったとは認められない」と検察側の主張をそのまま採用。 差し押さえ手続きだけに矮小化した判断に終始しました。
 「税務書類の作成」については、「会員の資料をもとに申告業務をサポートしただけ」「資料をもとに機械的に数値を入力したにすぎない」との弁護側主張に対し、「会計資料に記載された金額をそのまま入力」したことも「自己の判断」が入っているなどと、検察の主張を取り入れました。 税理士法の立法目的が「課税の適正かつ円滑な運用」であり、O、S両氏の行為によって「適正な課税が実質的に損なわれたとは言えない」などと量刑理由で触れながら、「(立法目的を)損なうおそれがあった」と、税理士法違反を適用しました。
 可罰的違法性については、刑罰は法益を実質的に侵害する行為に対して課せられるものであり、「限定的に解釈・適用しなければならない」とした弁護側主張を退け、「課税の適正かつ円滑な運用を損なうおそれがある」と「おそれ」を言うだけで、具体的な判断を避けました。
 さらに判決は弁護側が主張した国民主権に基づく自主申告権、徴税権力の支配の下で認められた税理士法が持つ構造的なゆがみなどの論点については踏み込んだ判断を避け、検察の描いた筋書きに終始しました。
 判決直後、満席の傍聴席から「インチキ判決」「裁判長は何を今まで聞いていたのか」などの抗議の声が上がりました。

拡大ではね返す抗告集会で決意
 判決後開かれた報告集会には、裁判を傍聴できなかった民商会員を含め200人が参加。「不当判決」を糾弾し、たたかい抜く決意を固めました。
 弁護団長のS弁護士は、「不当判決。即日控訴する」と表明。 判決については「おそれ」を言うだけで税理士法の適用を認めたのは「法律に基づいて警察や検察の機能をチェックする裁判所がその役割を果たしていないことを如実に表した」と厳しく批判。 一方、宣告刑が求刑の半分近くになり、執行猶予がつけられたことについて「裁判所の後ろめたさの表れ」と指摘しました。
 参加者や弁護士からも「不適正な申告はなかったとしながら有罪にしたのは検察の顔を立てただけ。 怒りに燃えている」「国税と検察の弾圧に手を貸した判決」「法の不正義は明らか。 皆さんとともにたたかい無罪を勝ち取る」「Oさん、Sさん、Nさんは私自身。 絶対無罪を勝ち取ろう」など力強い発言が相次ぎました。
 裁判を傍聴した全商連のK副会長は「業者はどんなに踏まれても強いものです。 弾圧を拡大ではね返してきたのが民商・全商連の歴史。 不当判決に対して拡大で反撃しょう」と訴えました。

たたかい強める
事務局長・Oさん

 判決は、この事件が弾圧であるかどうかについて判断しなかった。 国税や税務署の権限をより強化するような判決。安倍政権の下で税理士法が治安維持法のような弾圧法規として使われようとしている。 今後のたたかいを強めたい。

事務局次長・Sさん
 会員の数値をそのまま入力したことについて、その数値が「正しいという『自己の判断』があった」というデタラメなもの。 毎月の会費も、確定申告以外に民商活動に参加していないから、申告書作成の対価と断定した。 こんなむちゃくちゃな判決は認められない。

断じて容認できない
弁護団と岡山県連が抗議声明

 判決を受け、弁護団と岡山県商工団体連合会(県連)はそれぞれ声明を発表しました。
 弁護団声明は「量刑の理由では、本件ではOさんらの行為によって適正な課税が実質的に損なわれていないとする一方、犯罪の成否においては、適正な課税を損なう『おそれ』があるということだけで有罪とした。 ここに裁判所の論理は完全に破たんしている。 判決は検察が描く筋書きをひたすら複写するのみであった」とし「この判決は断じて容認できない」としています。
 県連声明は、民商弾圧という事件の本日にも目を背けた判決であり、「到底受け入れられない」と厳しく批判。 「自主計算・自主申告運動を強め、納税者の権利を守る運動に全力を尽くす」と表明した上「拡大で
不当判決に反撃する」としています。 (全国商工新聞2015.5.11)

声明
倉敷民商事件 O・S裁判:第11回公判概要

 4月17日、岡山地方裁判所第一刑事部(裁判長松田道別)で行われた倉敷民主商工会のO事務局長とS事務局次長への税理士法違反を問う公判で、両氏に懲役10月(その中に勾留された100日を参入)、執行猶予3年の有罪判決を言い渡した。
 重税に苦しむ中小業者の実態を無視した不当判決であり、原告・弁護団は広島高裁岡山支部に即日控訴した。
 判決では、税務書類の作成について検察側の証言調書のみを全面的に採用し、「民商で自主計算を学び、自分で申告をしている」という弁護側の証言をまったく取り入れなかった。 これは、日頃から自主計算を推進している民商会員の奮闘や民商運動を完全に無視した不当な内容である。
 また、税務・申告とは関係のない書類まで差し押さえた警察・検察の捜索についても「検察の裁量権の範囲内」と容認し、民商組織への弾圧という事件の本質にも目を背けた。
 判決は申告納税制度に基づく、助け合いの自主申告運動を進める民主商工会を敵視する検察の主張のみに沿ったものであり、とうてい受け入れられるものではない。
 求刑は、Oさんを懲役1年6月、Sさんを懲役1年としたが、判決は、両人を懲役10月、執行猶予3年、未決拘留100日分を参入するとしている。 執行猶予の付く判決は求刑通りとなり、未決拘留が参入されないのが通例であり、異例の量刑となった。 これは、法廷の度に、傍聴席を満杯にし、5万人以上の要請署名が裁判所に寄せられるなど全国の運動の反映でもある。
 私たちは、会員一人一人にこの判決を不当な中身を伝え、控訴審での無罪判決を目指して奮闘する。 そして弾圧をはね返すため、組織を大きくし自主計算・自主申告運動を強め、納税者の権利を守る運動に全力を尽くす。 また、全商連地方別活動交流会が、当地岡山で開催されることにあたり、拡大で不当判決に反撃する決意である。
  2015.4.17 
 岡山県商工団体連合会 会長


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■参加しょう、参加をよびかけよう
★辺野古新基地建設中止・戦争立法阻止宣伝行動
 5月15日 18:00
 天神一帯
★杉森学園E先生解雇事件
 5月22日 13:10
 福岡地裁303
★司法修習生給付制廃止国賠訴訟
 5月25日 11:00
 福岡地裁301
★イスラム国と日本の対応
 5月30日 15:00
 ふくふくプラザ601
★福岡市民病院Wさん雇い止め撤回訴訟
 6月12日 10:00
 福岡地裁301
★映画 沖縄・辺野古圧殺の海
 6月23日 18:45
 福岡市民センター 


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■メーデーで2人が入会
 5月1日、県下各地でメーデーがひらかれました。 北九州会場では、北九州総支部が署名活動をおこない約20事件で延べ963筆を集めました。 一人が入会しました。 3日の憲法集会では343筆の署名を集めました。
 福岡会場では、ビラ約300枚を配布し、1人の入会がありました。


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■「約束」の上映運動すすむ
 北九州総支部は、名張毒ぶどう酒事件の記録映画「約束」を支部内10カ所の目標に取組んでいます。
 4月20日には若松支部で上映、25人が鑑賞しました。 今後5月10日若松支部で2回目の上映会、5月31日遠賀中間支部で上映会が計画されています。


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■明乳争議「中労委闘争を勝たせる会」結成
 1970年代に、明治乳業の不当労働行為によって、賃金・昇格差別を受けた労働者が、その是正をもとめて、千葉市川工事件(32名)で30年、全国事件(福岡をはじめ全国9工場の32名)が20年たたかいつづけています。
 この間、労働委員会や裁判所で不当な判断がだされてきました。 そして、いま全国事件が中央労働委員会でたたかっています。 この中労委闘争の早期、全面解決への道筋を切り開く財政の確立と運動を広げるために、全労連のO議長、福岡県労連のE議長らを代表世話人として「明治乳業争議中労委闘争を勝たせる会」(略称・明乳を勝たせる会)が結成されました。 福岡争議団(Gさんら3人)は、明乳九州地区本部やメインバンクのみずほ銀行天神支店前で月1回宣伝行動をおこないながら、早期解決のために「勝たせる会」への入会を呼びかけています。


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■こんな理不尽な解雇は司法が判断したからといって
 撤回闘争をやめるわけにはいかない

 4月26日JAL不当解雇撤回福岡支援共闘会議5回総会での、U客室乗務員原告団長の言葉です。 総会では、今年2月、東京高裁の不当判決に対する原告を門前払いした最高裁への批判を世論にして、争議の全面解決をめざす方針を決定しました。


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■沖縄県民と連帯し、新基地建設を阻止しょう
 新基地反対のたたかいを映像で紹介するDVD「美ら海辺野古」(17分・500円)販売中 申し込みは、新基地建設反対名護共同センター
電話098-054-8555

全国行動
 5月18日 天神コア前 イムズ前などで、参加ください


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■行政追認の司法判断(西日本新聞4・23)抗議する
 4月22日、鹿児島地裁は、川内原発の再稼働刺し止めの仮処分で、「新基準は合理的」として、請求を棄却しました。 4月14日、高浜原発の再稼働刺し止めた福男地裁が新基準は「緩やかすぎて合理性を欠く」との決定の大局であり、行政追認の不当決定です。


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■初夏の能古島で楽しく学び、交流しよう
 救援学校IN能古島

 安倍政権の「戦争をする国」づくりと国民のたたかいが重大な局面を迎えるいま、国民救援会の、人権と民主主義、自由をまもる活動が、87年間の歴史と伝統をもつ活動が大事になっています。

▽ 救援会、救援運動や事件のことなどを学習し、かたり、交流します。
   ・・・・誘い合わせて、気軽に参加ください。
  会員、会員外にかかわらずどなたでも参加できます。
▽ 参加締切り5月20日(月)

と き 5月23日(土)14:00〜24日(日)12:00
内容 23日14:00〜16:00 学習 救援学校テキスト(事務局で用意します)
        18:00〜  夕食 交流会
    24日 9:00〜11:00  学習 事件報告 交流など
       11:00〜12:00  感想と当面の活動など討論 閉会

ところ 能古島・北浦荘(092-883-8505)
*北浦荘の風呂から見る博多湾は絶景です。


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