救援新聞・福岡県版  2010年5月15日号

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★  目次  ★
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 ■H県本部副会長死去
  遺志を引継ぎ進みます
  安らかにお眠り下さい
 ■布川事件
 ■声かけあって、励ましあってたたかおう!
  裁判傍聴、署名、集会、宣伝行動
 ■まどかぴあ雇い止め控訴審に不当判決
 ■国家公務員でもビラ配布は自由
  〜東京高裁違憲判決傍聴記〜
 ■第20回裁判勝利をめざす全国交流会に参加して


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■H県本部副会長死去
 遺志を引継ぎ進みます
 安らかにお眠り下さい

 県本部副会長のHさんは、1月に進行性がんが発病し、治療のかいなく4月21日に死去されました。 72歳でした。
 Hさんは、1962年に門司信用金庫労組結成に参加し書記長に就任。 金庫側の組合分裂策動のなかでデッチあげた団交暴力事件、本人をふくむ6人の不当解雇などの攻撃と、職場新聞「日刊・かかり火」の発行などでたたかう。 そのなかで、救援会門司支部を結成し事務局長に就任(74年職場復帰に辞任)
 1974年、職場復帰を勝ち取り、労組書記長や委員長、全信労中央執行委員、同九州地協議長として奮闘する一方で、県統一労組懇、県労連の結成に参加。
 98年に定年退職されると、ただちに救援会の役員に復帰されました。 昨年、北九州総支部副総支部長、県本部副会長に選出されていました。
 Hさんの活動に敬意と感謝を表するとともに、Hさんの遺志を引き継ぎ、救援運動を前進させましょう。


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■布川事件
 布川事件・桜井昌司さんを迎え、取調べの全過程可視化について話を聞きました。
 4月27日、25人が参加。桜井さんは福岡市内の8団体をまわり支援の要請。


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■声かけあって、励ましあってたたかおう!
 裁判傍聴、署名、集会、宣伝行動

 裁判日程など(5月15日〜6月17日 判明分)
△合唱団福岡あらぐさコンサート
 5月16日(日)13時30分
 早良市民センター 
△九州定温輸送不当解雇事件
 5月18日(火)13時30分
 高裁
 結審
△大牟田公害病遺族保障不支給決定取消訴訟
 5月18日(火)13時10分
 高裁
 判決
△西日本石炭じん肺訴訟
 5月19日(水)13時10分
 福岡地裁
 判決
△読売新聞「押し紙」訴訟・M裁判
 5月27日(木)11時
 地裁
△読売新聞「押し紙」訴訟・H裁判
 5月27日(木)13時30分
 地裁
△九州定温輸送不当労働行為
 5月31日(月)10時
 県庁・県労働委員会
 証人尋問
△福岡における解放運動無名戦士追悼会
 6月 6日(日)
 ふくふくプラザ
△読売新聞「押し紙」訴訟・M裁判
 6月 8日(火)10時
 地裁303
△TNC正社員化を求めるM裁判
 6月 9日(水)11時
 地裁303
△自由ヶ丘・M先生不当解雇事件
 6月17日(木)13時10分
 高裁
 判決
△読売新聞「押し紙」訴訟・K裁判
 6月17日(木)13時30分
 地裁107


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■まどかぴあ雇い止め控訴審に不当判決
 4月23日、福岡高裁・牧弘二裁判長は、1年契約を2回更新していたIさんの雇い止めについて「雇用契約の継続を期待していたとしても、それは客観的裏付けを欠くものであって、到底合理性のある期待ということはできない」と控訴を棄却。 「正職員になれる」と言われ真面目に働いた。 Iさんにとって。 これ以上も「客観的裏付け」はなく、もっとも「合理性のある期待」の表明です。 たたかいは最高裁に移ります。


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■国家公務員でもビラ配布は自由
  〜東京高裁違憲判決傍聴記〜

 「原判決を破棄する。被告人は無罪」という中山隆夫裁判長の第一声を聞いたとき、満員の傍聴席から「おおー」という声とともに笑顔と大きな拍手がわき起こった。 裁判長がそれを制し、判決文の朗読を始めた。
 朗読は、ほぼ1時間。 その中で断片的に印象に残ったことは、次のようなことである。

○ 表現の自由は、憲法の規定の中でも、もっとも大切なもの。
○ 被告のビラ配布行為は、行政の中立的運営や国民的信頼を侵害するものとは常識的に考えられず、配布行為に罰則規定を適用することは違憲。
○ 国家公務員法や人事院規則で国家公務員の政治的活動を禁止していること自体は憲法違反ではないが、世界的潮流、現代の国民感覚からすれば、広すぎて見直しが必要。
○ 1974年の郵政職員のポスター貼りを有罪とした猿仏最高裁判決以降国民の法意識も変容し、表現の自由、言論の自由の重要性に対する認識は一層深まっており、公務員の政治的行為についても許容的になっている。
○ 仕事は、社会保険庁の出先機関で、毎日20人ほどの区民の年金相談に応じる仕事で、政治的中立云々をする仕事ではない。 例えて言えば運転者と同じだ。
○ ビラまきは、休みの日に、職場とは全く関係ないところで、特に名前や職業を名乗ることなく行われている。

 30年以上も前、同じように公安警察に隠し撮りされ、某中央官庁の人事担当課長から呼び出されて説諭され、「以後このようなことはいたしません。」と謝って放免された自身の経験を思い出しつつ、堀越さんのように出先機関でなく中央官庁の係長だったらどういう判決になるだろうなと思いながら聞いていた。 
 高裁の裁判長は、全体に、細かいところまでよく調べており、弁護側が提出した論文や、学舎の証言などもよく勉強しているな、という印象だった。
 ただ、公安警察が、1ケ月もの間、延べ171の捜査員を動員して堀越さんを尾行し、居酒屋やカラオケに行ったところまで盗撮した人権侵害、プライバシー侵害について、何らお咎めなしというのは、不満であった。
 実は、尾行に使ったビデオ33本は、裁判では上映されたが、証拠採用としては裁判所から却下されており、また、昨年11月も荒川さんという僧侶が、マンションにビラまきをしたことに対する最高裁判決が有罪だったこともあって、私自身、このような判決が出ることは予想しておらず、悲観的な気持ちで傍聴席に入ったので、この判決を勝ち得た喜びは、格別であった。
 判決文の朗読が終わって、「被告人前へ」という裁判長の一声。 何を言うのかと一瞬思ったが、いろいろな調査で、判決に時間がかかったが、これは、次の裁判でも参考になることなので理解して頂きたいというような内容であった。
 このような、歴史的判決に立ち会えたことは嬉しかった。 同じように国家公務員のビラまきで、東京地裁で有罪になっている宇治橋さんの高裁判決が5月13日と決まった。今回の判決は、かなり踏み込んだ内容の実のある判決であった。
 裁判長は違うが堀越判決が宇治橋判決につながるように願っている。
 また、この事件は上告されたが、この判決を受けて最高裁が、高裁判決を上回る立派な内容の判決を下すことを期待している。(会員・福岡支部)


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■第20回裁判勝利をめざす全国交流会に参加して
 日程:2010年4月11日(日)〜12日(月)
 場所:静岡県熱海市・ホテル池田にて

 今回始めて参加させて頂き、これまで新聞紙上でしか知り得なかった事件の原告の方々にお会いし、貴重なお話を伺えることができ、これからも闘っていく覚悟と勇気を頂いた2日間となりました。
 国公法弾圧事件の原告である堀越さんの報告では、有罪を頭の中で描いていたが、勝つことが出来た、6年間の闘いは無駄ではなかった、引き続き頑張るとの力強い報告がありました。 国民目線の活動と国際的な目を持って欲しいと、報告がありました。

 自由法曹団のI弁護士からは、全国の非正規雇用労働者が声を上げて闘っている裁判が、全国で50〜60件はある。 しかも名だたる企業が多いのが現状である。
 昨年12月の最高裁での松下PDP裁判は不当判決である。 今年3月の京都地裁でのNTT偽装事件でも不当判決が出された、裁判官の認識を変える必要がある。 不安定雇用・低賃金で働く労働者への差別、若者が結婚も出来ない現状や、一端「派遣切り」されると再雇用は困難である実態を裁判官に訴えることが重要であると報告されました。
 被害実体の追求と法改正への運動諭の必要性を話されていました。

 布川事件の桜井さんからは、42年目でようやく再審が決まった喜びの報告がありました。 闘ってこそ明日は有る。冤罪事件の先頭に立って、これからも闘い続ける事を報告されました。
 
 分科会では、労働問題の分科会に参加しましたが、20事件39名の参加者の事件の報告を聞き、それぞれの事件が抱える問題の深さを痛感させられました。 正規社員の問題、非正規切りの問題、セクハラ・パワハラなど、事実を捉まえどう展開するか、運動をどのように広げるかをテーマに話し合われました。

 今国会中での派遣法改正の審議では抜け道だらけで、このままではとても労働者を守れない方向へ進んでいるので、不安定雇用労働者を守ることが出来る、抜本的な法改正への動きになるよう、全国で闘う60件の非正規労働裁判の連携を強化するような労働者側の反撃の運動を早急に対応できるような体制作りをお願いしました。

 これからも、支援の輪の中で、連携・共闘を強めて弱い立場の労働者を守る法改正へと導く運動を行っていきたいと思っています。
 最近の労働裁判では、とかく労働者側に厳しい判決が出ているので、対決して裁判官を説得する闘いが重要であることを感じています。 これからは、世論形成をしっかり行い、労働者派遣法の改悪への道をきっぱりと断つ運動に広げていきたいと、心新たに決意しました。

 TNCに正社員化を求める裁判 原告・M


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