救援新聞・福岡県版  2009年10月5日号

☆★☆★☆★☆
★  目次  ★
☆★☆★☆★☆


 ■第43回県本部大会を成功させよう!
 ■遺志を引き継ぎたたかいの前進を誓う
  第22回解放運動無名戦士北九州追悼会ひらかれる
 ■福岡地裁でも裁判員裁判はじまる
 ■9月10日 大野城市・まどかぴあ雇い止め事件に不当判決
 ■傍聴は無言の弁護人、あなたも傍聴で支援を
 ■法令なしに警察の監視カメラを設置することに反対する声明
 ■在日コリアン高齢者 無年金国家賠償請求事件 事件報告


★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
■第43回県本部大会を成功させよう!

 失業、貧困、医療・福祉の破壊など、主権者国民の尊厳を踏みにじる政治に国民は審判をくだしました。
 新しい情勢のもとで、人権と民主主義をまもる国民救援会の活動がいっそう重要になっています。
 会員及び事件関係者のみなさんに多数参加していただくよう呼びかけます。
  と き  10月4日(日) 10時30分〜16時
  ところ  北九州市立生涯学習センター
        小倉北区大門1−6−43 電話 093−571−2735
△ 大会の様子は次号(10月15日号)でお知らせします。



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
■遺志を引き継ぎたたかいの前進を誓う
 第22回解放運動無名戦士北九州追悼会ひらかれる

 9月13日、解放運動無名戦士北九州追悼会が八幡東区のレインボープラザでひらかれました。 会では、今年の3月18日、東京・青山墓地の無名戦士墓に合葬された北九州ゆかりの17人、一人ひとりの生前の人柄や活動などを一緒に活動した人から紹介されました。 参列者は、総選挙で自公政権を退場させたことを報告し、後に続く者が社会進歩のためにいっそう奮闘することを誓いました。
 来年の合葬追悼会に合葬する故人の推薦を受け付けています。詳しくは事務局まで。



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
■福岡地裁でも裁判員裁判はじまる

 福岡地裁での裁判員裁判第1号は、9月9日から11日までの覚醒剤密輸事件、第2号事件は、9月15日から18日までの殺人事件でした。

 9月11日に見事抽選に当り傍聴されたO副会長の感想文(要旨)
 9月11日、九州・沖縄で始めての裁判員裁判の判決公判を傍聴しました。 被告は3名の刑務官に付き添われ、黒のTシャツにジーンズ、手錠と腰縄付きで入廷。 続いて裁判官3名と裁判員6名(男性2名と女性4名)も入廷すると、緊張した雰囲気になりました。
 審理は9、10日の2日間で、3日目の当日は14時から松下潔裁判長が判決(懲役7年、罰金200万円)と判決理由を読み上げました。 判決理由では前科がなく更正の可能性は認めても、覚醒剤問題が審こうな社会問題なために、運び屋にしてはかなり厳しい判決だったと思います。
 今回は関心が高く傍聴券の競争は約7倍でした。 弁護士会の職員の話では、やがて傍聴者が減りそうだとのこと。 しかし、それでは裁判員制度が持っている多くの問題点は解決しないため、事件支援だけでなく裁判員制度を大きく改善するためにも、一人でも多くの方々の傍聴を訴えたいと思います。(90・09・16)


★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
■9月10日 大野城市・まどかぴあ雇い止め事件に不当判決 福岡地裁

 Iさんは高裁で解雇撤回を求めてたたかいを続けます。 引き続きご支援を。



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
■傍聴は無言の弁護人、あなたも傍聴で支援を

 (10月6日〜31)
★押し紙・M裁判
 10月 6日(火)16時30分
 福岡地裁
 門前集会15時30分
☆大牟田・公害病補償費不支給決定取消裁判
 7日(水)13時30分
 福岡地裁
★B型肝炎九州訴訟
 13日(火)13時30分
 福岡地裁
☆自由ヶ丘高校M先生不当解雇事件 判決
 13日(火)13時10分
 地裁小倉支部
★TNC正社員化M裁判
 14日(水)14時
 福岡地裁
 門前集会13時30分
☆自由ヶ丘高校I先生不当解雇事件 弁論準備
 21日(水)11時
 福岡高裁
★九州定温輸送不当解雇事件 第1回控訴審
 29日(木)13時30分
 福岡高裁
※ 裁判員裁判
 10月20日〜23日 強制わいせつ事件 福岡地裁


★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
■法令なしに警察の監視カメラを設置することに反対する声明

 警察は、7億円の補正予算を用いて、全国15地域で、街頭監視カメラを設置するモデル事業を実施する。 福岡県警は、その1事業として、2009年度中に、子どもの登下校中の防犯のためとして、福岡市中央区大名校区に25台の監視カメラを自ら設置し、地元民間団体に管理を委託するという。
 しかしながら、犯罪防止は、貧困や差別など犯罪の根本原因を取り除くための福祉施策の充実も含め、総合的な防止策を多角的に検討すべきである。
 そして、警察等による市民監視や不透明な個人情報の収集・利用は、個人のプライバシー権を侵害するばかりか、民主主義社会を支える言論・表現の自由を萎縮させる危険がある。
 犯罪検挙のための警察の捜査手段は、具体的な嫌疑を前提とし、基本的人権を制約する場合には法令の根拠を必要とし、令状がなければ原則として行えないというのが憲法以下の法令の考え方である。 犯罪防止のための監視が一定の場合に許されるとしても、具体的にその場所で起こりえる犯罪の軽重や蓋然性を度外視し、抽象的な「安全」や、単なる主観にすぎない「安心感」のために人権を制約することまでして許されているのではない。
 警察自身による監視カメラの設置の場合は、京都府学連事件判決(最判昭和44・12・24)、山谷監視ビデオ判決(東京高判昭和63・4・1)、西成監視ビデオ判決(大阪地判平6・4・27)など、令状主義を重視する判決があり、これらの判決によれば@犯罪の現在性または犯罪発生の相当高度の蓋然性、A証拠保全の必要性・緊急性、B手段の相当性がある場合を除いて、警察が自ら公道に監視カメラを設置することは認められない。
 ところが、全国的にも、福岡県下においても、犯罪は減少しており、大名校区で、特に通学路において犯罪が頻発しているとの事実は認められない。 従って、その設置は、違法であるといわなければならない。
 そもそも、監視カメラの設置に関する基準をはじめ、捜査機関に市民の行動が提供されないよう、適正な手続きを定めてプライバシー権を保障する法律や条令の制定が必要不可欠である。
 当会は2007年7月21日、2008年4月1日にも同様の意見を述べているが、なんら法律や条令が制定されないまま警察主導による街頭監視カメラが増設されていることに対し強く遺憾の意を表するとともに、当該事業を撤回するよう強く求めるものである。
 2009年(平成21年)7月31日
 福岡県弁護士会会長



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
■在日コリアン高齢者 無年金国家賠償請求事件 事件報告

 小倉南法律事務所「事務所だより」より

排除された在日コリアン
  1959年(昭和34年)に国民年金制度が創設されましたが、制度当時は、資格要件として「日本国籍」が要求されました。
 本件訴訟の原告団は、日本の植民地支配下にあった朝鮮半島の出身者あるいはその子であって、朝鮮半島が日本の植民地支配下にあったことから、生まれたときの国籍は日本国籍でした。
 1945年に日本が終戦を迎えた後、1952年(昭和27年)の民事局長通達(1952年4月19日付)により、サンフランシスコ平和条約発効時をもって在日コリアンらはその意思によらず日本国籍を喪失しました。
 国民年金制度が始まった1959年、在日コリアンは、日本国籍を有していなかったので、国民年金制度から排除されました。
 終戦を迎えた1945年当時、在日コリアンの数は200万人に達していたと言われています。 
 そのような状況下で、日本政府はその後成立したあらゆる社会保障制度に国籍要件を設けて、在日コリアンを排除しました。

状況は徐々に 改善したものの・・・・
 1981年(昭和56年)に日本が難民条約を批准したため、日本国籍を有しないインドシナ難民にも国民年金に加入を認める必要が生じ、国民年金の国籍要件が撤廃され、在日コリアンも国民年金の被保険者となりました。
 しかし、この法律では、これまで国籍要件により排除されてきた者に対する経過措置・救済措置は全く講じられず、そのため既に60歳までに25年の保険料納付が不可能な年齢に達していた在日コリアンにとっては、無意味な国籍条項撤廃となりました。
 1985年5月1日に国民年金法等の一部を改正する法律が成立しました。 この法律により国民年金の適用が全国民に拡大され、従来は任意加入だったサラリーマンの妻等が強制加入被保険者とされ、保険料を納付しなければならなくなりましたが、それまで保険料を納付していなかったため、いまさら保険料を納付しても60歳までに25年の受給資格期間を満たすことの出来ない者が多数生じるという問題が起きました。
 そこで新法は、新たな強制加入被保険者の納付する保険料が掛け捨てにならないための措置として、それまでの任意加入期間(加入できたのに加入していなかった期間)を合算対象期間として25年の受給資格期間に合算することを認めました。
 しかし新法は、その施行日において60歳以上の者は新法の適用を受けないと規定したため、施行日において60歳以上の在日コリアンには新法も適用されず、年金が全く支給されないことになりました。

平等を求めて提訴
 そこで本件原告9人は、1959年の制定当時の法律が国際要件を設けたこと、国籍要件が撤廃された1981年以降において経過措置・救済措置を採らなかったこと等が憲法14条1項に反するとして、2007年9月18日に福岡地方裁判所に国家賠償請求事件を提訴しました。
 裁判は現在、第8回口頭弁論期日まで進んでいて、2009年6月24日には、原告の本人尋問が行われました。 原告が高齢や体調不良等の理由から全員が話しをすることは出来ませんでしたが、4人の原告が戦前や戦後の状況、出生当時からの生活状況や現在の生活状況、年金制度から排除されたことに対する思い等を裁判官やたくさんの傍聴者の前で語りました。
 第9回口頭弁論期日は9月30日に行われ、6月24日に行えなかった5人目の原告の本人尋問が行われる予定です。



△▼目次へ▼△



 ☆「資料集」に戻る☆