救援新聞・福岡県版  2009年9月5日号

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★  目次  ★
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 ■新しい政権に、実現を迫ろう!
  警察、検察の取調べ全過程の可視化と
  人権条約選択議定書の批准を
 ■裁判員裁判と女優の「薬物事件」報道
 ■第43回 県本部大会のお知らせ
 ■傍聴は無言の弁護人、あなたも傍聴で支援を
 ■遺志を引き継ぎたたかいの前進を誓う
  第22回 解放運動無名戦士北九州追悼会のご案内
 ■ニューヨーク州の陪審員に対する説示
 ■あえていえば98%くらい


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■新しい政権に、実現を迫ろう!
 警察、検察の取調べ全過程の可視化と
 人権条約選択議定書の批准を

 民主党中心の新しい政権が出来そうです。民主党はマニフェストで取調べの可視化を公約しています。 新しい政権に実現を求める声を届けよう!

49 取調べの可視化で冤罪を防止する。
 『政策目的』
○ 自白の任意性をめぐる裁判の長期化を防止する。
○ 自白強要による冤罪を防止する。
『具体策』
○ビデオ録画等により取調べ過程を可視化する。

と掲げています。 「全過程」という言葉が抜けていますが、私たち国民の大きな世論で「取調べ全過程の可視化」を実現させましょう。(社民党は全面可視化を公約)

 また、国連自由権規約委員会などから求められている個人通報制度については、

50 人権侵害救済機関を創設し、人権条約選択議定書を批准する。
 『具体策』
○ 内閣府の外局として人権侵害救済機関を創設する。
○ 個人が国際機関に対して直接に人権侵害の救済を求める個人通報制度を定めている関係条約の選択議定書を批准する。
 と公約しています。 選択議定書が批准されると、人権条約で保障している人権が国内手続きで認められなかった時、個人で国連に訴えられるようになります。 人権条約が保障する人権を国内で実現させる力になります。 選択議定書の批准も実現させましょう。


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■裁判員裁判と女優の「薬物事件」報道
 8月3日、東京地裁で裁判員裁判がはじまり、福岡地裁でも9月9日に最初の裁判が
おこなわれます。 ところで、8月はじめから有名女優夫妻の「薬物事件」がマスコミを賑わせています。 特に、逮捕された以降は、「自供」の内容を検証し、信用性を問題にしています。 もし、この事件が裁判員裁判対象事件であったら、マスコミ報道に接した裁判員候補者が「有罪」の予断を持つことは避けられないことだと思います。
 被疑者は、公開の法廷で証拠によって有罪判決を受けるまでは無罪の取り扱いを受けること(推定無罪)、取調べに対して「黙秘権」があること、裁判にあたっての「予断の排除」などは、刑事裁判の鉄則です。 裁判員裁判で、人権侵害や誤判・冤罪を生むことがないようにするには、刑事裁判の鉄則にもとづく捜査と裁判の徹底が求められます。
 裁判員裁判が始まりました刑事裁判の鉄則を学習しましょう。


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■第43回 県本部大会のお知らせ
 日本国民救援会福岡県本部第43回大会を下記のとおり開催いたします。
 会員はどなたでも参加できます。 また、事件関係者の積極的な参加を訴えます。
 いま、県内では、九州定温輸送、春日病院、自由ケ丘高校、まどかぴあなどによる不当解雇とたたかう事件や生存権裁判、障害者自立支援法訴訟、B型肝炎九州訴訟、読売新聞押し紙裁判など多くの事件が裁判でたたかっています。
 裁判員裁判がはじまり、政権も交代するという新しい情勢のもとで、たたかいを交流し、勝利をめざす活発な討論をお願いするものです。
 会員ならびに事件関係者の多数の参加を心からお願いいたします。
 2009年9月5日
 日本国民救援会福岡県本部 会長

と   き   10月 4日(日) 
          10時30分〜16時
と こ ろ   北九州市内(次号、大会議案に記載します)
         (会場予約が1カ月前の関係で未定  8月30日現在)

△ 役員立候補の受付について
 新しい情勢のもとで、人権、民主主義をまもるたたかいをいっそう前進させるために国民救援会にあなたの力をお貸しください。
 県本部役員の立候補を下記の通り受付ます。 自薦他薦いづれも受付ます。

立候補締め切り  9月26日(土)17時 県本部事務局まで


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■傍聴は無言の弁護人、あなたも傍聴で支援を
 (9月6日〜31日)
☆まどかぴあ不当解雇事件
 日時:9月10日(木)13時10分
 内容:判決
 場所:福岡地裁
★押し紙・K裁判
 日時:9月11日(金)14時30分
 場所:福岡地裁109
 門前集会:13時50分
☆押し紙・M事件
 日時:9月11日(金)15時30分
 場所:福岡地裁
★押し紙・H事件
 日時:9月30日(水)10時
 場所:福岡地裁
 門前集会:9時30分
※裁判員裁判
 9月9日〜11日
 9月15日〜18日


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■遺志を引き継ぎたたかいの前進を誓う
 第22回 解放運動無名戦士北九州追悼会のご案内

 日時:9月13日(日)午後1時
 場所:レインボー・プラザ


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■ニューヨーク州の陪審員に対する説示
 私たちはいま、刑事裁判のすべてに適用される根本原則、「無罪推定」「証明責任」、「合理的な疑いを超える証明」について考えなければなりません。 
 刑事手続きを通して、刑事被告人は無罪と推定されます。 その結果、あなたたちは、この法廷に提出された証拠に基づいて、検察官が被告人の有罪について合理的な疑いを超える立証をしたとの結論を出さない限り、被告人を無罪と評決しなければなりません。
 検察官が被告人の有罪について合理的な疑いを超える証明責任を果たしたかどうか決めるために、あなたは検察官と被告人から提出された全ての証拠を考慮に入れることができます。
 しかし、よく覚えておいていただきたいのは、被告人が証拠を提出した場合でも、証明責任は検察官にあることです。 被告人は、彼や彼女は無実であることを証明する必要はありません。 その反対に、検察官は、合理的な疑いを抱く余地がない程度まで被告人の有罪を証明する責任があるのです。 検察官が被告人が犯人であること、そして犯罪の全ての要素一つひとつについてそれぞれ合理的な疑いを抱く余地がない程度まで検察官が証明しない限り、あなたは被告人を有罪とすることができないのです。
 この立証責任が、検察官から被告人に転換することは絶対にありません。 もし検察官が証明に失敗したなら、あなたは被告人を無罪と判断しなければなりません。 もし検察官が証明責任を果たした場合、あなたは被告人を有罪と判断しなければなりません。
 では、法律が要求する「合理的な疑いを超える証明」とは何でしょうか。 法律は「合理的な疑いを超える証明」という言葉は、有罪評決を可能にするだけの有罪性の証明の強固さを示しています。
 法は、この世界における人間に関する問題で、絶対に確かなことはきわめて少ないと認識しています。 そこで法は、有罪に対するどんな疑いをもさしはさむ余地がないほどまでの立証は認めていません。 他方、被告人がたぶん有罪だろうという証明では不十分です。
 刑事事件では、立証責任は可能性が高いという立証より強いものでなければなりません。 それは有罪に対する合理的な疑いをさしはさむ余地がない証明でなければなりません。
 「合理的な疑い」とは、証拠の性質と信用性に基づいて理由のある真摯な疑問を意味します。 これは想像上ではなく現実の疑いです。 提出された証拠や、説得力ある証拠の欠如を理由に、人偏が呈する常識的な疑問です。
 「合理的な疑いを超える証明」は、犯罪の全ての構成要素、そしてそれを犯したのが被告人であることについてあなたがなんら合理的な疑いを持たず、確固として被告人の有罪を確信するまでの証明を意味します。
 検察官が被告人の有罪を、合理的疑いのない程度まで証明したかどうかの判断は、証拠の完全かつ公平な評価のみにもとづいて行われなければなりません。
 証拠を注意深く評価した後、あなたたちの一人ひとりが、証拠が合理的な疑問の余地のない程度まで、被告人の有罪性をあなたに確信させたかどうかを判断しなければなりません。
 あなたの評決は、根拠のない憶測に基づくことがあってはなりません。 また、アドバイスや偏見、同情、そして早く評議を終わりにしたいという願望や、望まない義務を避けたいという願望に評決が影響されることは、あってはなりません。
 もしあなたが、被告人は起訴された犯罪について、被告人の有罪が合理的な疑いを指しはさむ余地がない程度に確かだと思わない場合は被告人を無罪と判断しなければなりません。 あなたが合理的な疑いをさしはさむ余地がないほどに被告人を有罪だと思う場合、あなたは被告人を有罪と判断しなければなりません。
 (日本語訳・伊藤和子 『誤判を生まない裁判員制度への課題』・現代人文社 より)


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■あえていえば98%くらい
 先日、僕は模擬裁判員裁判の評議の様子を見てきました。・・・
 『疑わしきは被告人の利益に』という原則については、裁判長も説明していました。 その点について、裁判員のほうから「どの程度疑わしかったら無罪になるのですか」という質問が出ていたのですが、裁判長は「常識に照らして犯人だと思われれば犯人です」という程度の説明しかしていなかった。 もっとも、この点については初日に詳しい説明があったようです。 ただ、「常識に照らして」というだけではわかりにくい。
 「10人の罪人を逃がしても一人の無辜を罰するなかれ」という諺があります。 この諺が刑事裁判の鉄則であるとすれば、「90%の心証では足りない」という程度のことは当然いえそうです。 そのような説明をすれば、もうちょっとわかりやすかったのではないかなと思うんだけれども。 私自身はかねて「証拠に照らして、まず絶対に間違いない」といえる場合でなければ有罪認定すべきでないといっています。 数字で表現するのは難しいですが、あえていえば98%くらいでしょうか。
 木谷 明・元東京高裁判事 法政大学教授
 (『世界』09年4月NO789・どこを改善すべきか)


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