救援新聞・福岡県版 2009年6月25日号
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★ 目次 ★
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■親会社の不当労働行為を認めながら、
それによる解雇の責任を問わない不当判決
■テレビを持っていることが健康で文化的な生活ですか?
生存権裁判に不当判決
■福岡における無名戦士追悼会ひらかれる
■裁判員裁判市民講座を開講します
■県弁護士会が市民モニター制度を導入
説明会に参加し市民モニターに登録を
■傍聴は無言の弁護人、あなたも傍聴で支援を
■知る権利、知らせる権利を保障するビラか配布の自由と権利をまもろう!
■九州定温輸送不当解雇事件の判決から
■生活保護裁判の判決について(敗訴)
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■親会社の不当労働行為を認めながら、
それによる解雇の責任を問わない不当判決
九州定温不当判決解雇事件判決・・6月11日、地裁小倉支部(岡田健裁判長)は、建交労九州定温輸送分会員5人の不当解雇事件について判決を言い渡しました。
判決は、過酷な労働条件と組合結成、組合員への差別、いじめ、暴力、団交拒否などの事実を認めたうえで、「本件解散及び本件解雇の実質的主体は被告(親会社ワイケイサービス・埼玉県戸田市)であったと認められる」。 として、「原告らは、本件解散及び解雇によって労働者としての地位を喪失したものであり、これにより各原告が被った精神的苦痛に対する慰謝料としては、各人に100万円を下らないものと認められる」と、慰謝料の支払を命じました。 しかし、解雇責任については、九州定温の法人格が全く形骸化していない。 として違法行為をした親会社の責任を免罪しました。
原告5人は、「市民感覚に沿った判決を!」と、毎週の街頭宣伝とアンケート方式による裁判所への要請ハガキや裁判所要請などに精力的に取組んできました。 寄せられた署名は5万5千筆を超え、要請ハガキは4千枚に達しました。
原告のKさんは、「不当判決ではありますが、不法行為があったとする判断材料を足掛かりに、引き続き早期解決を目指して原告一同頑張っていきます。」と決意を語られています。 闘いは高裁に移ります。 支援の輪を大きく広げて解雇撤回を勝ちとろう!
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■テレビを持っていることが健康で文化的な生活ですか?
生存権裁判に不当判決
6月3日、福岡地裁(高野裕裁判長)は、70歳以上の生活保護受給者は「高齢加算」が廃止されても「テレビを保有し、新聞を購読している」ことなどをあげ、「原告らの生活が、健康で文化的な生活水準を下回っているということはできない」と請求を却下しました。 加算廃止は最低限度の生活水準を切り下げたもので、判決も「家計に打撃を受け、肩身の狭い思いをしていることは理解できる」と認めています。
老齢加算廃止は憲法25条違反です。 高裁で憲法違反の判決を勝ちとろう!。
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■福岡における無名戦士追悼会ひらかれる
6月6日、福岡市のあいれふで、第4回追悼会がひらかれ61人が参加しました。 追悼会では今年3月18日、東京・青山の解放運動無名戦士墓に合葬された福岡地域の23人を、厳粛かつ和やかに追悼しました。
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■裁判員裁判市民講座を開講します
県本部常任委員会は、裁判員制度がはじまることから、実際の裁判員裁判の傍聴をよびかけ、意見や感想などを出し合い裁判員制度を検証していくことを決定しました。 そのために、これから少なくとも四半
期に1回、裁判員裁判市民講座を開講します。
第一回 裁判員裁判市民講座
と き 7月4日(土)13時30分〜16時
ところ 福岡県民会館 4階ホール
内 容
裁判員制度入門
制度の問題点などのついて学習します。
裁判員の心構え
「推定無罪」や「疑わしきは被告人の利益に」など刑事裁判の鉄則を学習します。
講座は皆さんの質問、意見を中心にすすめます。質問、意見をお寄せください。
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■県弁護士会が市民モニター制度を導入
説明会に参加し市民モニターに登録を
県弁護士会は、「この制度のもとで納得のいく裁判となっているかとうい点について市民の目線から意見を集め、この制度が充実したものになるよう検証する必要性を感じております。」として「市民の皆様から意見を頂くためには、実際に裁判を第1回から判決まで通して見て頂き、その率直な感想を伝えて頂くことが最も有意義だと考え、この度の市民モニター制度の創設に至りました。 是非、多くの市民の方々にご参加頂きたく、ご案内申し上げる次第です。」としています。
市民モニター説明会
と き 6月29日(月)午後3時〜5時
ところ 福岡市中央区市民センター
中央区赤坂2−5−8 電話092−714−5521
△問い合わせは 県弁護士会 電話 092−741−6616まで
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■傍聴は無言の弁護人、あなたも傍聴で支援を
(7月10日までの日程)
★TプロMさん正社員化提訴
6月26日(金) 14時30分
福岡地裁門前集合
☆春日病院・Tさん解雇事件
6月30日(火) 13時10分
地裁小倉支部
★押し紙(Hさん)裁判
7月 1日(水) 14時
福岡地裁
☆押し紙(Hさん)裁判
7月 6日(月) 15時
高裁、
★押し紙(Mさん)裁判
7月 6日(月)16時
地裁
☆障がい者自立支援法訴訟
7月10日(金) 11時
福岡地裁
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■知る権利、知らせる権利を保障するビラか配布の自由と権利をまもろう!
のびのびと選挙・政治活動をすすめよう!
警察の干渉・弾圧は救援会に連絡を
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■九州定温輸送不当解雇事件の判決から
2 争点1(原告らは、被告に対し、それぞれ労働契約上の権利を有する地位にあるか)について(要旨)
(1) 法人格否認の法理について
親会社と子会社は、それぞれ別個の法人格を有する法人であり、親会社は子会社の従業員に対して雇用契約上の責任を当然に負うものではないが、子会社の法人格が、形がいにすぎない場合又は法的責任を回避するために濫用されている場合には、いわゆる法人格否認の法理により、子会社の従業員が親会社に対し雇用契約上の責任を追及することも認め得ると解される。 しかし、法人格否認の法理による救済は、本来、個別的・例外的にのみ認められるべきものである。 例えば、子会社の従業員が、親会社に対し、過去の未払い賃金や退職金の支払等、1回的な給付の請求を行うような場合であれば、比較的、同法理の適用になじむものといえる。
これに対し、本件請求が、仮に主張が肯定されるならば、個別的・例外的といえる域を
超えて救済を認めることになりえる。 そのような救済が認められるためには、法人格を否定すべき度合いがより高いことを要すると解される。
例えば、子会社の実態が不安定といえるほどに形がい化しており、もともと親会社との間で雇用関係が成立していたのと同様の実態があったような場合(全くの形がい化)、あるいは、親会社が、不当労働行為の意思に基づき、子会社を解散して従業員を解雇しつつ、自ら同一の事業を継続するというような偽装解散の場合(明白な濫用)に限って、子会社との間の雇用関係が、親会社との間に存続していると主張することが認められるというべきである。
したがって、上記の用件に該当しない場合は、たとえ、親会社が、子会社の労働組合を排除する等の濫用的意図をもって子会社を解散したとしても、子会社の従業員が親会社に対して雇用契約上の地位を主張することはできないというべきである。
(2) 本件では、いわゆる親会社の間において通常見られる程度を超えるものではなく、
九州定温が被告とは別個の法人としての実態を有していたことは明らかである。したがって、九州定温の法人格が全く形がい化していたとはいえない。 また、解散後、被告支配下で九州定温の事業が継続されているという事情のないことも、上記認定のとおりであり、人格の明白な濫用があるともいえない。
したがって、法人格否認の法理により、原告らが、九州定温との間の雇用関係が被告との間でなお存続していると主張できるだけの要件は認め難いといわざるを得ない。
3、争点2(本件は不当行為に該当するか。 仮に該当するとすれば、被告が原告らに支払うべき損害賠償の額はいくらであるか)について(要旨)
被告は、分会排除の意図で九州定温を解散させたものと認められるから、本件解散及び解雇は不当労働行為に該当するとともに、原告らに対する故意による不当行為を構成するものであり、各原告が被った損害を賠償する責任がある。 原告らは、本件解散及び解雇によって労働者としての地位を喪失したものであり、これにより各原告が被った精神的苦痛にたいする慰謝料としては、各人について100万円を下らないものと認められる。
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■生活保護裁判の判決について(敗訴)
2009年6月3日
北九州生活保護裁判原告団
北九州生活保護裁判弁護団
生活保護裁判を支援する会
本日、北九州市在住の70歳以上の生活保護受給者39名が、北九州市を被告として、2004年になされた老齢加算の削減及び2006年になされた老齢加算の廃止をそれぞれ内容とする保護変更決定処分の取消しを求めた裁判について、福岡地方裁判所第1民事部は、被告の処分の違法性を認めず、原告らの請求を棄却した。
この裁判は、全国101名の原告が8地裁で闘っている裁判で、福岡地裁判決は3番目の判決である。
高齢保護受給者は、もともとギリギリの生活を送っていた。 老齢加算の削減ないし廃止により、彼ら(彼女ら)は、憲法25条の保障する「健康で文化的な最低限度の生活」を下回る厳しい生活を強いられている。 老齢加算の削減ないし廃止の処分は、生活保護法56条が定める不利益変更禁止の原則に反するとともに、生存権を保障する憲法25条及びこれを具体化した生活保護法の基本原則に反する違憲、違法な処分である。
老齢加算の削減ないし廃止により犠牲となるのは、高齢で生活保護を受けているという極めて弱い立場にいる社会的弱者である。 彼ら(彼女ら)は、病気、失業、怪我など様々な理由で生活苦に陥り、頼る人もいないため、やむを得ず生活保護に頼っている。 また、高齢者は、慢性疾患の蓄積に苦しみ、他者の介護を必要とする存在である。 老齢加算は、その高齢ゆえの特別な需要に対応するものであった。老齢加算の削減ないし廃止の処分は、このような高齢者の特別な需要を無視したものである。 老齢加算が支給されていた70歳以上の高齢者は老齢加算の削減ないし廃止の処分によって生活が困窮しても、就労して、その不足分を補うことのできる状態ではない。 老齢加算の削減ないし廃止の処分は、高齢者の状態を考えない卑劣なものである。
世界的な不況によって格差と貧困の度合が深刻さを増していく中、生活保護制度は、最後のセーフティーネットとして重要な役割を果たしている。 また、生活保護制度は、他の諸制度、諸施策と連動しているため、生活保護基準の切り下げは、生活保護受給者だけでなく、国民生活全般に極めて重大な影響を及ぼす。
本件訴訟は、政府の生活保護基準切り下げ政策の転換を図り、高齢者はもとより国民の生存権を保障する上で、重要な意義を有する。
本日言い渡された判決は、厚生労働大臣の裁量権を大幅に認め、健康で文化的な最低限度の生活を下回っているとは言えないとして本件廃止処分に違法はないとして原告らの請求を棄却した。 このような判断は、高齢の生活保護受給者の生活実態から目を背けるものに他ならない。
人権の最後の砦となるべき司法が、このような判決を下すことは、その職責を放棄し、貧困のスパイラルを容認したものといわざるを得ず、憤りを禁じ得ない。
我々原告団及び弁護団は、直ちに控訴し、憲法25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を守るために全力で闘うことをここに宣言する。 以上
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