救援新聞・福岡県版  2008年4月15日号

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 ■1928年4月〜2008年4月
  たたかう人々と共に80年  新たな前進へ
 ■80周年記念の会員拡大運動に全力を!
 ■来年5月、その時あなたは裁判員?
  裁判員をめざす学習会をひらこう!
  年内には裁判員候補に通知
 ■北九州総支部が2つの集会
 3月12日  松川事件の真相
 3月25日 大分・豊後高田 公選法弾圧事件


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■1928年4月〜2008年4月
 たたかう人々と共に80年  新たな前進へ

 4月4日、創立80周年を記念する行事が行われました。
 第一部の記念講演会では、Y会長が、「救援運動の原点と魅力、伝えたいこと」と題して、自らの救援運動の体験をもとに救援会の原点を語りました。 また、「9条の会」事務局長のK東大教授は「憲法の力、言葉の力」と題して、憲法の素晴らしさと新たな情勢のもとで「9条の会」を中心とした憲法をまもる運動の重要性を強調され、国民救援会への期待を語られました。
 第二部の記念レセプションでは、各界からのお祝いの言葉につづいて、先に無罪判決を勝ちとり確定された引野口事件の片岸みつ子さん、和彦さん親子とA弁護士、K北九州総支部事務局長が勝利の報告と支援へのお礼を述べました。


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■80周年記念の会員拡大運動に全力を!
 4月5日第52回中央委員会がひらかれ、80周年を記念し、7月末にひらかれる第54回全国大会をめざして、会員拡大に全力をあげて取組むことを決定しました。
 言論弾圧事件や冤罪事件の多発、裁判員制度の導入など救援会への期待がたかまっています。会員拡大にご協力をお願いします。

言論の自由をまもろう!無実の人を無罪に!
国民救援会に入会して人権と民主主義をまもろう!



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■来年5月、その時あなたは裁判員?
 裁判員をめざす学習会をひらこう!
 年内には裁判員候補に通知

 法務省は、国民が刑事裁判に参加する裁判員制度を、来年5月21日からスタートさせる政令案をまとめました。
 7月以降には、市町村ごとに来年1月分の裁判員候補の数が割り当てられます。
 そして、候補者名簿が作成され、年末までに候補者になった国民に通知されます。

スタートに前に、取調べ全過程の録画・可視化、卑劣・違法捜査の根絶を
 引野口事件に判決は、捜査機関の卑劣・違法な捜査を厳しく指摘しました。 鹿児島の志布志事件などでも「自白強要」の違法捜査が断罪されました。
 裁判員が事件の真実を正しく判断するためには、取調べの全過程の録画・可視化の実現は避けられません。

裁判員になる心構えの学習を
 裁判員は、有罪無罪の判断だけでなく、死刑をふくむ刑罰の決定にも参加します。 責任は重大です。
 救援会は、いまの制度では国民が誤判や冤罪づくりに巻き込まれると指摘しています。
 「疑わしきは罰せず」「推定無罪」「100人の犯人を逃しても一人の無辜を罰してはならない」など、刑事裁判の鉄則を学び、そこから裁判員制度について学習をしよう。
 少人数でも連絡いただければ講師を派遣します。


卑劣な捜査手法改めよ 
仁比氏  冤罪「引野口事件」で追及 参院法務委

 日本共産党の仁比聡平議員は8日の参院法務委員会で、2004年3月、実兄殺害と放火容疑で北九州市の片岸みつ子さんが逮捕された冤罪事件「引野口事件」を取り上げ、卑劣な捜査手法の問題を明らかにしました。
 福岡地裁小倉支部の3月5日の無罪判決は、「捜査機関は、同房者を通じて捜査情況を得る目的で、意図的に同房状態にした」と、代用監獄にスパイ目的に女性を送り込んだことを認めました。
 さらに「本来取り調べと区別されるべき房内での身柄勾留が犯罪捜査のために濫用された」とし、福岡県警の捜査手法を「虚偽自白えお誘発しかねない不当な方法」と批判しています。
 仁比聡平氏は、片岸さんが「夫まで共犯者扱いされ厳しい取り調べのあと自殺に追い込まれ、長男は私の無実をはらすため仕事を失った。 家族の時間を返してほしい」と延べたことを紹介 。「代用監獄での身柄拘束を濫用し《犯行告白》をねつ造するような卑劣な捜査手法が、家族の人生を台無しにしている」と指摘し、代用監獄を廃止するよう迫りました。
 鳩山邦夫法相は、「ご家族の人生まで破壊されてしまうことが十二分にあり得る。 そういうことが二度とないよう厳しく指導したい」と答えました。
(しんぶん切り抜き)


拙速な実施は悔いを残す(西日本新聞・2008.3.16)
裁判員制度

 国民が法廷で裁判官とともに刑事裁判を審理し、被告人を裁く「裁判員制度」は一年余後に始まる。
 司法を国民に開かれたものにし、裁判に「市民の常識」を生かすという制度の本旨には、私たちも賛成である。
 しかし一方で、参加を義務づけられる国民の間には不安が根強い。 法曹界の中にも疑問や欠陥を指摘する声がある。
 不安や疑問を抱えたまま新制度を実施すれば、司法に対する国民の信頼をかえって損ねることになりかねない。
 裁判員制度は日本の刑事司法の歴史的な改革である。 拙速に実施して悔いを残してはならない。 最高裁や法務・検察など関係機関には、制度を円滑適正に機能させるために国民の不安解消に向けた一層の努力を求めたい。
 2004年5月に公布された裁判員法では、新制度の実施日は「公布の日から起算して5年を超えない範囲内」で政令で定めることになっている。
 つまり法に従えば、遅くとも来年5月までには裁判員制度が始まる。 その半年前から始めると規定されている裁判員候補者選定の準備を考えれば、実施日を定める政令制度の時期が迫っている。
 しかし制度導入にあたって、いま重要なのは、実施の日をいつにするかではない。 「国民がより容易に裁判員として裁判に参加できるよう必要な環境整備に努める」ことだ。 裁判員法付則にも、そう明記してある。
 裁判員制度をめぐる世論や刑事裁判の現況を見る限り、その条件をクリアしているとは言い難い。 制度の内容が周知され始めたことで、むしろ国民の不安は大きくなっているのではないか。
 裁判員制度が扱うのは量刑に死刑や無期懲役がある裁判だ。 被告と検察が争う否認事件が多い。 当然、審理に慎重さを要し、裁判員の判断も難しくなる。
 そうした裁判で「人を裁く」というのは相当な心理的重圧である。 国民の約7割が依然「参加したくない」としている大きな理由もここにある。
 自白偏重の捜査による人権侵害や冤罪が相次ぐ中で、供述の任意性や信用性、調書の証拠能力を判断できるのか。 死刑判決にも関与しなければならないのか。 裁判に参加できる日は限られる。
 もろもろの不安に、公判前手続きで争点を整理して提示することや、取り調べを録画・録音することなどの方策が進められているが、まだ十分とはいえない。
 最高裁の見通しでは裁判の7割は3日以内に終わるという。 果たしてそうか。 いや、それでいいのか。 拙速な裁判で誤審が増えないか。 日数を短縮しても審理的重圧がなくなるわけではない。
 不安と疑問は山積している。 それらすべてを解消するのは無理だが不安の要因をどこまで取り除けば、裁判員制度が円滑、適正に機能するか。 新制度の開始はそれを見極めてからでも遅くはない。


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■北九州総支部が2つの集会
3月12日  松川事件の真相
元被告らが語る 北九州で集会

 「いまに学ぼう松川運動に 松本清張と松川事件」と題する集会が12日、北九州市内で開かれました。福島大学「松川資料室」研究員のI同大名誉教授と元被告のH氏の二人が、松川事件の経緯、真相などについて話しました。
 松川事件は、1949年に起きた列車転覆事件。被告20人全員が無罪を勝ちとった戦後最大の冤罪事件といわれ、松本清張ら多くの文化人が支援運動に参加しました。 
 H氏は「無罪になっただけでいいのか。 事件の真相解明は手つかずに残っている。責任をとった者はいない」と批判するとともに、被告としての苦労話も話しました。
 I氏は、松本清張記念館(同小倉北区)で開催中の特別企画展「松本清張と松川事件」に多くの資料を貸し出しています。
 I氏は、松川事件が発生したころ、GHQ(連合国軍総司令部)の指示による国鉄や公務員民間大企業の大量人員整理にたいする労働争議の先鋭化が避けられずたたかう労働組合や日本共産党を攻撃するために仕組まれた事件であることを、当時の情勢をもとに解明しました。
 参加者からは、「当時新しい憲法のもとでこんな事件が起きるとは考えてもいなかった。いまも国民が油断したら逆戻りさせられる。 権力を監視し声をあげることが大事だ」との意見がだされました。

3月25日 大分・豊後高田 公選法弾圧事件
大石議員迎え  北九州で集会

 最高裁までたたかい抜き、警察当局の狙った「公民権停止」の適用を打ち破った公選法弾圧大分・大石事件の大石忠昭・豊後高田市議(日本共産党)を迎えての報告集会が25日、北九州市戸畑区で開かれました。 支援者約40人が参加しました。
 同会は、大石事件(2003年)直後に発足。 1審の大分地裁、2審の福岡高裁、最高裁での裁判傍聴のほか宣伝・署名活動、要請行動、パンフレットの普及などに奮闘しました。
 大石氏は、参加者一人ひとりにお礼の言葉をかけ、笑顔で握手をかわし、「党派を超えて、物心両面での支援とあわせて、日本共産党の議席を守っていただいた」とのべました。 さらに、予想される衆院選挙九州・沖縄ブロックで、党が2議席獲得するために全力を挙げて頑張る決意を表明し大きな拍手を受けました。
 同席した妻の大石妙子さんは「守っていただいた議席の重みをかみしめている。 今後、夫とともにがんばりたい」と語りました。
 集会では、I弁護士が「選挙弾圧・大石事件が残した財産と今後の課題」と題して話しました。 主催した「大石忠昭さんを支援する北九州市の会」は、裁判闘争が終結したことから、この日で同会を解散しました。


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