救援新聞・福岡県版  2006年8月25号

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★  目次  ★
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 ■第53回全国大会に県本部から9名参加
 ■県本部大会に議論しよう!
  大会に参加しょう。参加を呼びかけよう!
 ■第2次再審請求をめざす、大崎事件・原口アヤ子さんから暑中見舞い
 ■薬害肝炎九州訴訟「正義の判決」を!
 ■第19回北九州合葬追悼会
 ■大石市議事件の無罪を求める署名 県内6千筆を超える。引き続きご協力を!
 ■夏期募金へのご協力ありがとうございました
 ■引野口事件
  証拠も動機もない殺人・放火事件


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■第53回全国大会に県本部から9名参加
7月29日から31日まで滋賀県でひらかれた第53回全国大会には、Nさ,Aさん,Hさん,KOさん,Yさん,KTmSさん,KMさん,Wさんの9名が参加しました。 Nさんは、役員選考・選挙管理委員として奮闘されました。
 なお、福岡県本部からの中央委員として、OさんとYさんが選出されました。 また、県本部から提案していた、九州定温輸送不当解雇事件、引野口事件、生存権裁判の裁判所等への要請決議が最終日に採択されました。

無実の母を助けてください。
 大会2日目に、引野口事件について、片岸さんが発言。 証拠も動機もなく、警察が送り込んだ同房者の供述だけで犯人とされ、裁判をたたかっている引野口事件の支援を、と訴えました。 また、1日目の夜おこなわれた再審・冤罪事件の交流会でも発言。 さらに、弁護団の冒頭陳述パンフ100冊を普及し、精力的に支援を訴えてまわりました。

あなたの会費が人権と民主主義をまもる力になります
(会費月600円新聞代含む・郵送費がかかる場合があります。)
基本的人権への攻撃に黙ってはいられない 
人権をまもる連帯の輪をひろげよう!


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■県本部大会に議論しよう!
 大会に参加しょう。参加を呼びかけよう!

 「戦争をする国」づくりの策動と弱肉強食、格差拡大の「構造改革」の政治は、私たち自身、私たちの身近に基本的人権を侵害する多くの事件を発生させています。
 基本的人権と暮らしの破壊が戦争への道であることは歴史の教訓です。
 いまこそ、ヒューマニズムあふれる救援運動を強く、大きくして基本的人権をまもる連帯の輪を広げなければなりません。
 多くのみなさんが県本部大会に参加され、議論に参加されるよう訴えます。

日本国民救援会福岡県本部第40回大会
日 時  9月3日(日)10時30分から16時30分
ところ  中央市民センター  第一会議室
      福岡市中央区赤坂2−5−8 電話092−714−5521
*会員外の方も参加できます。裁判等でたたかっている方々の参加を呼びかけます。


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■第2次再審請求をめざす、大崎事件・原口アヤ子さんから暑中見舞い
 暑中お見舞い申し上げます。私はやってもいない罪を受けて死ぬことはできません。
 今後も身体には充分気をつけて頑張ります。これから先も大変だとは思いますが、ご協力をよろしくお願いします。
   2006年盛夏

大崎事件の現地調査が10月14日、15日おこなわれます。 第2次再審請求のための新証拠を発掘します。
新証拠発掘にあなたの目と知恵をお貸しください。


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■薬害肝炎九州訴訟「正義の判決」を!
 ◆判決前日決起集会
  8月29日(火)18時〜都久志会館(天神4−8−10)
 ◆判決
  8月30日(水)  12時〜門前事前集会、 14時判決言い渡し


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■第19回北九州合葬追悼会
 ◆とき   9月17日午後1時から
 ◆場所  八幡東区 レインボウプラザ


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■大石市議事件の無罪を求める署名 県内6千筆を超える。引き続きご協力を!


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■夏期募金へのご協力ありがとうございました


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■引野口事件
 証拠も動機もない殺人・放火事件

一 事件の概要
〔別件逮捕で長期勾留〕
 2004年3月24日の夕刻、北九州市八幡西区引野2丁目で家屋が全焼し焼け跡から焼死体(男性・当時58歳)が発見された。 被害者の死因は当初「心臓刺創による出血性ショック死」で「火災の前に死亡していた」とされていた。
 被告にされている片岸みつ子さん(当時56歳)は被害者の実妹で、独り暮らしでアルコール依存症の兄宅(片岸さんの実家)を定期的に訪れ食事などの世話をしていました。
 片岸さんは、5月23日に窃盗容疑(兄名義預金の引き出し)で、7月1日には威力妨害容疑(義姉に相談なく家屋を改修したとして)の別件で逮捕されました。
 警察は、この軽微な二つの別件を利用し、接見禁止をつけた長期間勾留で、殺人・放火事件について自白を強要しました。

{送り込まれた警察のスパイ}
 片岸さんは、厳しい取り調べのなか、殺人・放火については「身に覚えがない」と否認をつづけていました。 そこに、B子(当時21歳、窃盗容疑)が同房になります。 八幡西署が、「B子が・・ひょつとしたら何か事件に関することを聞けるのではないかという思惑」(第6回公判尾上証言)から、B子を再逮捕する八幡東署に働きかけ、組織的・計画的に同房者として送り込んだのです。 警察は、B子をスパイに仕立て7月15日から9月27日まで連日、片岸さんのことを探らせ、殺人・放火事件で警察に判っている内容に誘導などしてB子供述を作ります。 そのB子供述を片岸さんの「犯行告白」として、10月3日に殺人罪、10月25日に放火罪で片岸さんを逮捕しました。

{検察の主張}
1 検察官冒頭陳述「第4被告人の犯人性を基礎付ける事実」の要旨
(1) 動機 被告人が実家の財産が被害者の妻にわたることを阻止するために画策していた。

(2)被害者宅の電話が3月24日午後5時5分、5時12分に使用されている。この二通の架電は、被害者は既に死亡しているので犯人のものと考えられる。 被告人は5時12分の電話を「兄からの電話で、灯油を持ってくるように頼まれた」と虚偽の弁解をしている。

(3) 被告人は同房者に「兄の首を刺した後に胸を刺した」と告白したが、その当時の解剖では心臓の死創だけが確認されており、首の死創は確認されていなかった。 告白に基づき再鑑定したところ生前に受けた右総頚動脈の切損が判明した。 死因も、右総頚動脈切損に基づく出血性ショック死(ただし心臓刺創が死期を早めた可能性がある)と変更された。

2 検察官は、犯行時刻、犯行態様について立証していないが、B子供述、鑑定などから、以下のような犯行状況を主張している。
(1) 23日午後2次頃弁当をもっていった。 兄と言い争いとなり、台所にあった包丁で右総頚動脈を刺した。 その後1時間から2時間以上、フスマをはずすなど放火の準備をしたが、兄がまだ生きていたので仰向けに転がし心臓を刺し、車で帰宅した。

(2) 24日午後2時頃弁当をテーブルにおいて帰った。 夕方、5時頃に再び現場に来て、104番と自宅に電話した。 自宅に電話した5時12分以後に灯油を兄の周りにまいて、昨日用意していた、フスマと隣の部屋の雑誌とかチラシ等に放火し、車で帰宅した。

二 片岸さんを犯人とする事実は一切ない
 片岸さんと殺人・放火事件を関連づける直接証拠は一切ありません。 「犯行告白」の事実もありません。 B子供述が辛うじて関連づけているだけです。

{片岸さんに犯行機会はない}
1 片岸さんの3月23日、24日の行動は、第三者供述(訪問者供述、コンビニのレシートなど)で裏付けられている。 また、24日午後5時頃には片岸さんの車も夫の車も自宅駐車場に停まっていたのが目撃されている。 検察主張の犯行機会は存在しない。

{B子供述は信用できない}
1 検察は、右総頚動脈の切損は「告白」にもとづくもの、とするが、そこに血腫があることは解剖時からわかっており、立会い警察官にも告げ、写真も撮らせ、その部分を保存していたのであり「秘密の暴露」たりえない。

2 右総頚動脈の切損は焼損により血管壁が破れ、中の血液があふれでて血腫ができたと見るのが自然。 死因は、心臓刺創による失血死である。 解剖写真から気管支の奥まで煤が入り込んでいることが明らかで、被害者の死亡推定日時は、24日午後5時12分から5時56分の間の火災発生後間もないころ。 (弁護側証人、鈴木庸夫山形大学名誉教授)

3 B子供述は、放火の準備のためフスマを全部外した、とするが、実況見分調書によると、例えば現場と東側部屋との間は「敷居付近の発掘により、引き戸下部側の残存枠3枚分が認められ、同所で復元すると、引き戸2枚は北側に寄せられ、もう一枚は南側に寄せられた状態であった」(写真302)などと見分しておりフスマは外れていなかった。

4 B子(当時21歳)は、それまで数回の逮捕歴等があり、今回も逮捕容疑の外に多数の余罪から実刑の可能性があった。 警察にとっては利用しやすく、B子は警察に気に入られる必要があった。 このような状況下でつくられたB子供述は信用できない。

{違法収集の証拠は証拠にはできない}
1 八幡西署は、片岸さんの房内での動静を探らせるため、B子を再逮捕する八幡東署と事前に相談し、7月15日から9月27日までの約2カ月半、八幡西署で同房させた。
 組織的・計画的に代用監獄を悪用してB子の勾留を片岸さんの捜査のために利用したことは、勾留の目的を逸脱しており違法。

2 B子は警察のスパイとして片岸さんから情報を得ようと画策した。 このような捜査は、クリーンハンドの原則を定めた憲法31条に違反する違法捜査。

3 同房者による捜査は、黙秘権の告知がされることはなく、防衛権を侵害するもので、憲法38条1項違反。 また、被疑者にとっては、警察と同房者による取調べが毎日24時間続くことになる。 異常な長時間の取調べ、欺計による取調べの結果得られた証拠に任意性はなく、証拠とすることはできない。(憲法38条2項)

{片岸さんには動機がない}
1 被害者には、別居していたが妻も子どももあり、被害者を殺害しても実家の財産を独り占めにできないことは誰が見ても明らか。

2 片岸さん夫婦にもかなりの財産があり、夫婦は不動産の賃料収入等で裕福に、悠悠自適の生活をしており「殺人」までおかして実家財産を独り占めにする必要は全くない。

3 アルコール依存症の兄を長年介護していたが、トラブルはなかった。


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