救援新聞・福岡県版  2006年4月25号

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★  目次  ★
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 ■いま、「言論・表現の自由」があぶない
  救援会員を増やし、運動の輪を広げよう!
 ■なんとしても、福岡高裁で逆転無罪を
  大石市議事件、全国活動者会議ひらかれる
 ■代用監獄を永久化する未決拘禁法に反対を
 ■5月3日の集会案内   憲法集会に参加しょう!
 ■再審を考える
  真実を「歴史のひだ」に埋もれさせてはならない


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■いま、「言論・表現の自由」があぶない
 救援会員を増やし、運動の輪を広げよう!

 いま、救援会は、公選法弾圧・大石市議事件、や国公法弾圧・堀越事件、世田谷事件、住居侵入罪・葛飾ビラ配布事件などの「言論弾圧」事件の勝利をめざして全力をあげています。 堀越事件の判決は6月29日、大石市議事件は福岡高裁でたたかわれます。
 「言論・表現の自由」は、民主主義社会の根幹です。 平和もくらしも「言論・表現の自由」があってこそまもられます。
 戦後再建された救援会の今日までの運動は、「言論弾圧」事件の勝利をめざす運動であったといっても過言ではありません。 いま、憲法9条を改悪し戦争をする国づくりが強まるなかで起こされている「言論弾圧」事件の勝利に全力をあげることが求められています。
 「言論弾圧」事件の勝利をめざす運動の力は、救援会の拡大・強化です。

全国大会までの拡大目標
 7月29日からひらかれる第53回全国大会をめざして、会員拡大の運動を取る組んでいます。 この間、拡大数を上回る退会者がでで、昨年より会員が減っています。 人びとの連帯の力で平和、人権、民主主義をまもる救援会を大きくしょう!
 入会をよびかけよう!みなさんに、会員拡大の運動へのご協力とご奮闘を訴えます。

求められている救援会の拡大・強化
九州ブロック会議ひらかれる

 4月8日、9日、熊本県阿蘇市で、救援会九州ブロック会議がひらかれ、福岡県から7名が参加しました。 会議では、大石市議事件、大崎事件に九州ブロックが力を合わせることと、いまの情勢のなかで救援会の拡大・強化が求められており、全国大会めざして、会員拡大、支部活動の強化など組織拡大・強化をめざして奮闘することを確認しました。
 あなたの600円の会費が言論弾圧に勝利し、人権と民主主義をまもる連帯の輪をひろげる力です。 ご入会を(新聞郵送費がかかる場合があります)


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■なんとしても、福岡高裁で逆転無罪を
 大石市議事件、全国活動者会議ひらかれる

 4月16日、「選挙弾圧大石市議事件、高裁無罪判決をめざす全国活動者会議」が福岡市でひらかれました。 会議には、大石忠昭さんをはじめ、九州各県、愛知県、大阪府などの13府県44名が参加しました。 福岡県からは7名が参加しました。
 会議では、弁護団の井下顕弁護士から、一審判決の不当性や福岡高裁に、国際自由権規約と正面から向き合うようもとめていく、など報告がされた後に各地の「守る会」や救援会の代表が、一審での取組みの経験と高裁での運動について活発に論議しました。
 会議では、@事件学習にとりくみ、A署名を、第一回公判まで3万筆、年内10万筆を集め、B毎月高裁へ要請行動をおこなう、など確認しました。

福岡高裁への無罪を求める要請
 4月17日、全国活動者会議の参加者を中心に、福岡高裁への要請をおこないました。裁判所前で宣伝したあと、9895(福岡県約750筆)の署名を手渡し要請しました。
 地元の「大石さんの議席を守る会」事務局長の宮本茂登一さんは、「大石さんは、市民のために活動するただ一人の議員で豊後高田市民の宝です。 大石さんが引き続き議員として活動できるようにしてください」と涙をながして要請しました。
 なお、4月15日には、「大石事件を支援する福岡の会」が学習集会を開きました。「会」では、三千筆の署名を集める、毎月高裁に要請する、ことなどを目標に、この間、県労連や福商倍連など11団体の会議で、署名のおねがいなど支援を訴えました。


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■代用監獄を永久化する未決拘禁法に反対を
 冤罪事件の温床である、代用監獄の永久化をおりこんだ「未決拘禁法」案が4月14日衆議院法務委員会で可決されました。 参議院で廃棄をめざして取組を強めましょう。
 福岡支部は4月12日、天神で法案に反対する街頭宣伝をおこないビラ300枚を配布しました。


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■5月3日の集会案内   憲法集会に参加しょう!
△福岡市 笑顔のために憲法九条
 場所:福岡市民会館大ホール
 時間:13時開演
 第一部 語ろう憲法と平和
 第二部 憲法劇
△ 北九州市 かえたらいかんちゃ!憲法9条は
 場所:ムーブ
 時間: 13時開会
 講演:「ズッコケ3人組平和を語る」
 朗読劇
△ 大牟田市 いまこそ出番 憲法九条
 場所:大牟田文化会館ホール
 時間:13時30分開演
 講演:自らの戦争体験そして国際政治経済の現状から憲法九条を語る」
 アトラクション:ありあけ三線の会
△ 田川市 強制連行と憲法9条を語る集い
 場所:田川青少年文化ホール
 時間:13時30分開会
 「九条の会田川」総会
△ 久留米市 06年5・3憲法集会
 場所:くるめホール(市役所2階)
 時間:13時30分開会
 講演:緊迫する朝鮮半島と改憲策動


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■再審を考える
 真実を「歴史のひだ」に埋もれさせてはならない

1)大崎事件の冤罪犠牲者、原口アヤ子さんは、犯行があったとされる夜の時間には、昼間の結婚式でのお祝い酒も手伝ってぐっすりと眠っていました。
 布川事件の冤罪犠牲者、杉山卓男さんと桜井昌司さんは、その頃、事件現場の茨城県利根町から遠く離れた、東京・中野区にいました。
 冤罪事件の犠牲者は、自ら体験した事実の主張が取り入れられず、司法によって、本人にとっては全く架空の時間、司法によって作られた事実が「公」の事実として歴史に刻まれている。 いわゆる「アリバイ」が認められずに、体験した事実は闇に葬られ、「司法の事実」は強制されている。
 名張毒ぶどう酒事件の冤罪犠牲者、奥西勝さんは、10分間の体験事実が闇に葬られ、「司法の事実」によって、死刑を宣告されている。
 再審は、確定判決で不利益を受けた人々にとって、司法が作った事実を、司法によって当事者が体験した事実=真実に是正させ、正しい歴史を後世に残すことでもある。

2)2006年2月9日、「横浜事件」再審判決公判での「免訴」判決について、翌10日付けの西日本新聞は社説で以下のように述べている。
「戦時下最大の言論弾圧事件『横浜事件』の再審判決公判で横浜地裁は、元被告5人の免訴を言い渡した。 …・この事件については戦後、多くの研究が行われ、『でっちあげ』だったということがほぼ定説になっている。 
 それだけに今回の再審判決では、戦後の混乱期のさなかにあった当時の司法が『過ち』をしたかどうかについて、60年以上も後の司法が踏み込んでみせるか注目されていた。 今回は、それを聞くことはできなかった。 それでも、横浜事件についてはこれからも繰り返しその意味を問い、決して歴史のひだに埋もれないようにしたいと考えている。」
 この社説は、「横浜事件」に限ったものかもしれないが、再審の目的である「誤判の是正による無辜(むこく)の救済」は、一方で、事件の真実を「歴史のひだ」に埋もれさせない役割があることを指摘している。

3)ところで、大崎事件で鹿児島地裁の再審開始決定を取り消し、再審請求を棄却した福岡高裁決定は、「判決が確定したことにより動かし得ないものとなったはずの事実関係」というが、果たしてそうであろうか?
 かって神奈川県警幹部は「晴れてたって、気象庁が雨といえば雨なんだ。そして何年かたって、その日は雨だったということが、真実になるんだよ」と述べた。(緒方宅電話盗聴事件に関して、94年9月6日朝日新聞)気象庁を裁判所(判決)に置き換えると、誤判の是正がいかに重要かが分かりやすい。
 判決が社会的出来事の事件の真実を認定したものである以上、認定した事実は社会的に検証を受ける対象となることは当然のこと。 人間の歴史は、科学や社会の進歩によって、それまで「事実」とされていたものを是正したり、さらに発展させてきた。 判決といえども、確定前であろうと確定後であろうと、そこに「過ち」の可能性が指摘されたなら、すすんで見直すことが社会的原則に合致する。 主権者国民を「裁く」国家機関として求められる姿勢でもあろう。
 福岡高裁の「判決が確定したことにより動かし得ないものとなったはずの事実関係」という決定は、社会的正当性を持たない。

5)現在の制度では、再審公判で見直されない限り、確定判決の「事実」は動かない。すなわち、確定判決の「過ち」による「誤った事実」が歴史上の公式な事実として後世に残され、真実は「歴史のひだ」に埋もれたままになる。これは、冤罪被害者とともに事件の被害者にとっても不幸なことである。
 司法の「過ち」による誤判の是正には、確定判決時の「司法が『過ち』をしたかどうかについて、後の司法が踏み込んでみせる」ことがもとめられる。
 「横浜事件」では、「でっちあげ」が定説になっているにもかかわらず、確定判決に「踏み込む」ことなく、司法の「過ち」を見逃した。 そして、真実は「歴史のひだ」に埋もれたままになった。
 布川事件、名張毒ぶどう酒事件では、地裁は「踏み込み」開始決定をだした。高裁が「踏み込む」かどうか問われている。
 大崎事件では、請求人の原口アヤ子さんと弁護団の努力によって提出された新証拠で、「歴史のひだ」に埋もれていた真実に日が当り、地裁は「踏み込み」開始決定をだした。 しかし、福岡高裁の「過ち」によって、真実は再び「歴史のひだ」に埋もれさせられてしまった。 「過去の過ちを自らの手で、誰よりも早く正確に是正すること、それは司法が司法であるための不可欠の条件である。 無辜(むこく)の救済は無辜の救済である前に、誤った司法を救済する」(大崎事件特別抗告理由補充書)ものであったにもかかわらずである。
 しかし、原口さんは「このままでは死んでも死にきれない」と、司法に「繰り返しその真実を問う」ため、二度目の再審請求を決意された。
 私たちにも、人権の回復と正しい歴史を後世に残す責任がある。 司法に「繰り返し大崎事件の真実を問う」ことは、私たちの課題でもある。
 大崎事件について、「これからも繰り返しその意味を問い、決して歴史のひだに埋もれないようにしたいと考えている。」


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