衆議院法務委員 各位

修正で危険な本質は変わりません。
国民の「内心の自由」を侵す共謀罪新設法案の廃案を強く求めます。


                                           2006年6月2日
                                           全国労働組合総連合
                                           自由法曹団
                                           日本国民救援会

 現在、「共謀罪」の新設を含む組織犯罪処罰法の「改正」案が国会で審議されています。政府案に対し、修正案が出されていますが、修正によって国民の「内心の自由」をおかすという共謀罪の危険な本質はかわるものではありません。 私たちは、あらためて共謀罪に反対し、強く廃案を求めるものです。

共謀罪は、近代刑法の原則をおかすものです。
 近代刑法は、犯罪の実行行為を罰することを原則としています。 それは、国家権力が、国民の内心に踏み込み、恣意的に罰することを防ぐためです。 しかし、共謀罪は、「犯罪」の実行について、話し合い・合意したことを「罪」とするもので、近代刑法の原則をおかすものです。 (何が「犯罪」にあたるかは警察が判断し、合意を実行に移さなくとも共謀罪は成立します)

共謀罪は、戦前の治安維持法の「復活」です。
 相談や話し合いを犯罪とする共謀罪は、日本国憲法で保障された、思想・信条の自由、内心の自由、言論・表現の自由、結社の自由をおかすものです。 この点で、共謀罪は、稀代の悪法である治安維持法の「復活」といえます。

共謀罪は、警察権限を拡大し、警察の監視社会をつくります。
 共謀罪を立件するためには、会話や自白が重要な証拠となります。 そのため、室内盗聴など違法捜査の拡大やいっそうの自白強要につながります。 また、共謀罪の取締りを名目に、警察が24時間市民を監視する社会になる恐れもあります。

日本に共謀罪が必要はありません。
 日本政府自身が、国連審議の場で、「日本では共謀罪を新設しなければならない事情はない」旨、発言しています。 また国会でも、日本国内に共謀罪を必要とする事情は説明されていません。 日本に共謀罪はいりません。